アンチフェミの発言をフェミの発言と誤認する人、あるいは冷静中立論理的な人々

b.hatena.ne.jp

のブクマを眺めている。

 

このまとめタイトルの「自分の娘が児童型ラブドール愛好家にレイプされたらどう思いますか? 規制しておけば良かったと後悔するでしょう?」は、

twitterのshinri @shinri59565505 というアカウントの発言だ。

mobile.twitter.com

私個人は児童型ラブドールの「売り方」「社会における位置付け」に色々と思うところある人間だが、上記タイトルの文言は瞬時に反駁できる理論であって、どんなトピックであってもこの論法で他者を説得することは出来ないだろう。 2020/6/3 18:00現在、640ほどのブクマがついており、この雑な詭弁が論理として成立していないことを指摘しているブコメがほとんどのようだ。

 

スマホからの埋め込みが面倒なので直接抜粋するが、ここでshinri氏のプロフ欄とtweetの一部をご確認いただきたい。

プロフィール: 「フェミニストはフェミってないで美貌を活かして男からせしめなさい。え?美貌も優しさも持ち合わせてない?………お前はフェミってよし!」

tweet: 「出来る男性は上司だろうと取引先だろうと手名付ける技を持っていますから、何故女性は子供程度も手名付けられないのか?と疑問を持ちます。」

「日本で女性がOLか閣僚のどちらにもなれるとすれば、99.999%はOLになるでしょう。」

「フェミ撲滅派だけど、流石にバカ殿は平成以降に地上波ゴールデンでやってはいけない内容だったと思います。」

「(痴漢被害の記事に対し)なんで警察が完全に20代女性の味方になると思ってたんでしょうか?」

「男女平等を求めるのはお門違いです。すでに成り立っているのだから。正直に美人ブス平等を求めて下さい。」

ラブドールとか規制しなくて良いから猟銃みたいに免許制にしてたっぷり税金とって欲しい。違法所持は罰金。」

そして上記ツイートの直後に立憲民政党の小泉議員に対し「法の解釈どうこうの前にさ、自分の娘が児童型ラブドール愛好家にレイプされたらどう思いますか? 規制しておけば良かったと後悔するでしょう? それとも、自分は子供を持つつもりがないので関係ナシですか?では社会貢献度の高い親優先で規制です。」とリプをしている。

 

このようにshinri氏のtwitterを確認すれば、アンチフェミニストであるとすぐに気づけるだろう。ついでにリプ欄を追えば、オタクも小児性愛者もドール愛好家も子供のこともどーでもいいと思っていることがわかる。自分の属性と重ならないから、ドールが規制されようとされまいと関係ない人間の発言だ。

当該togetterの中身の議論についてここでは言及しないが、shinri氏の意図がどういうものであったにせよ、ブコメの皆様が批判していたのは「アンチフェミの発言」なのだ。 アンチフェミがフェミ風の発言を騙ったか、アンチフェミが適当な発言をしたか、アンチフェミが本心で非論理的な発言をしたか、のいずれかである。

 

こういった雑な発言は、問題の本質を逸らしてしまい、意見が異なる人々の合意点を探るのに邪魔なノイズになってしまう。そしてしばらく経てばこの件は「フェミのお気持ち案件」「こうやって雑な論理で規制を求めるから賛同を得られないんだ」と言いたい人の論拠の一つに使われてしまう可能性大だろう。

何に対しても批判は自由だが、知的なブクマカの皆様におかれましては、叩きやすい発言ほどソースを深堀りして頂きたいと願う。

 

BL無罪、ではない

先日、BL関連の創作物について、なかなか目に余る広告を目にした。
mobile.twitter.com

コミックシーモア社が運営してる、PR用アカウントらしい。
なんというか…正直しんどい。「えちい!!!」じゃねーよ。既に数人から批判されてるのにそれを見てないのか無視してるのか不明だけど、ほんとこれ、駄目ですよ。

以下の主張は作品に対する批判ではなくて、「こーいうモンを全世界・全年齢に向けて公開PRすなよ」という批判である。
なお上記で紹介されている作品に限らず際どい作品が他にもあったので、それらを含めての話。

①異性なら許されないのに同性間なら許されるセクハラなんて無い。そこに加害者と被害者の性別は関係ない。セクハラはセクハラだしパワハラパワハラ。それがエロコンテンツとして描かれているものを、広告として垂れ流すな。

②弱みを握って性行為に至るのはハラスメントであり加害であり犯罪であり、どクズのすること。どんなジェンダーの組み合わせでも同じ。それをエロコンテンツとして(以下略)

③未成年者は保護の対象。少なくとも18歳以下を性愛の対象として描いていて、その作品が全年齢対象なら、それは作中でインモラルなこととして描かれるべき。またその作品の宣伝において未成年者の身体や、未成年者との性的な絡みを広告のアイキャッチャーにしてはならない。登場人物がいかなるジェンダーでも。

④好いている同士なら何をしてもいいわけではない。どんなジェンダーの組み合わせでも同じこと。たとえ両思いでも恋人でも、相手が嫌だと言ったらやめるべきだし、相手の身体は本人の物なので合意なく触ってはいけない。そのことが「当たり前の認識」じゃない世界観の作品は全年齢向きではないし、その箇所を抜粋して広告にするべきでない。(特に今の日本では。)

⑤同性愛者=ポリアモリーじゃない。どんなジェンダーだって、付き合ってるという共通認識があるなら浮気は駄目(不誠実な行為)だし、誰か一人と結婚したなら他の人との恋愛・性的関係は不倫になる。たとえ一方がAセクやパンセクでも同じ。そういった偏見を生みかねない描写を全年齢でやらないでほしいし、コンテンツとしてPRしないでほしい。

オメガバースとかいう設定は、同性愛をコンテンツとして楽しむための装置であるという自覚を持ってほしい。BLコンテンツを好む人達に都合良く作られた世界であることを忘れないでほしい。
オメガバース設定を好む方は、わざわざそういう設定を用いて、性欲と倫理観の間で苦悩に悶えるゲイを見て楽しみたいんです。嗜好するだけなら個人の自由だけど、ある属性をコンテンツ化してる事実から目を逸らさないで。単なる同性愛を「禁断」として描くことが社会的に難しくなったから、現実にはあり得ない設定を作中に持ってくることは手法としては正しいと思うけど、それによって自分達がどういうものをコンテンツとして欲しているのか、ちゃんと理解してほしい。

あなたがセクシストじゃないなら

あなたがもし、「この社会には性差別があり、それは是正されるべきだ」「どのようなジェンダーにも機会の平等があるべきだ」と考えていれば、あなたはセクシストではない。アンチ-セクシストだ。
女性差別だけでなく男性差別もある、男性差別の方が深刻だ、男性差別反対」と考えている人も、セクシストではない。セクシズムに反対なのだから。

「自分はセクシストではない、セクシストにはなりたくない」という自覚を持つことには、沢山のメリットがある。
そのメリットを紹介したい。

・あなたがセクシストじゃないなら、フェミニズムの特定の一派に同意できないからといって、セクシストに味方する必要が無くなる。
・あなたがセクシストじゃないなら、SNS上のフェミニスト一人一人の発言の矛盾点を突くことに勤しむ必要がなくなり、あなたにとっての「もっと重要な問題」にフォーカスすることができる。フェミっぽいことを言ってる人にいちいち突っ込みを入れなくても、もっと他にできる「有意義なこと」があると気づける。
・あなたがセクシストじゃないなら、フェミニズムやセクシズムについてそこいらの匿名アカウントに無闇に何か尋ねていくのではなく、自ら問題意識を持って学ぶことができる。そして自分の偏見や誤解で誰かを傷つける可能性を減らせる。
・あなたがセクシストじゃないなら、学位や著書を持ち権威のあるフェミニストアカウントや、フェミニズムへの理解の手助けをしたいと考えている男性フェミアカウントのみに真面目な疑問を投げていれば、「女垢に絡みたいだけの痴漢」「フェミを論破したいだけのセクシスト」と誤解される可能性が減る 。
・あなたがセクシストじゃないなら、フェミニストを名乗るただの差別主義者を見たときに、「これだからフェミはw」と嘲笑うのではなく「あなたはただの差別主義者です」と自ら批判できる。あなたの観測範囲の全てのフェミニストがそれをフェミニズムから分断したかどうかをわざわざチェックしなくても、あなた自身が、アンチセクシストの立場から分断することができる。
・あなたがセクシストじゃないなら、ミソジニーミサンドリーを理解することで、フェミニズムミサンドリーを誤認せずに済む。
・あなたがセクシストではなく、あなたの性自認が女性または女体持ちである場合、自分が性差別を実感するまでフェミニズムに対する態度を保留にしておくことができる。「フェミニズムってよくわからない、本当に正しいのかな、果たして私にも必要なものなのだろうか」と懐疑的でも、「性差別には(もしそれが実在するなら)反対だ」という認識があればセクシストに与する必要がなくなり、女体や女性性を都合よく搾取したいセクシストから身を守る助けになる。
・あなたがセクシストじゃないなら、「パンプスを履くのが辛い」とこぼす女性に「革靴も辛いんだよ」「でも女性はネクタイしなくていいよね?」等の無益な絡みをする必要がなくなる。男性だけに事実上義務付けられた服装規定が辛いのならば声を上げよう。靴擦れしている女性に向かって、ではなくて、あなたの上司に、リクルートに、マイナビに、アオキに、コナカに、議員に働きかけよう。一人じゃ怖いよね、そしたら周りの男性にも呼び掛けてみよう。そしたらkutoo運動をしてた女性達は「こっちはパンプスを我慢してるんだからお前らも革靴くらい我慢しろよ」とは言ってこない、という事実に気づくことができる。
・あなたがセクシストじゃないなら、女性専用車両を女性優遇と感じた場合に、それを利用する女性に何かを求めるのは筋違いだと気づくことができる。女性専用車両に乗って性犯罪被害者を怖がらせるのではなく、男性を冤罪被害から守る男性専用車両導入の運動に署名しよう。自分が使ってる鉄道会社に働きかけよう。司法や警察の動きに注視し、何か問題があれば逐一抗議しよう。デモをするのも良いかもしれない。
・映画のレディースデーが、レストランのレディースランチが、女性専用プリクラコーナーが、男性差別だと感じるのであれば然るべき先に抗議しよう。あなたがセクシストじゃないなら、無関係の女性にそれらを訴えても何の問題解決にも繋がらないことに気づけるはずだ。そのサービスを考えた組織に、その場を提供してる責任者に、それが性差別だと訴えよう。
・あなたがセクシストじゃないなら、男性の育休制度が十分でないことや、父親の育児参加が難しい社会であることを、育児で疲弊してる母親に訴える必要がなくなる。本当に訴えるべき先はどこか、あなたの権利を奪っているのは誰か、見極めることができる。
・繰り返しになるが、あなたがセクシストじゃないことを自覚できれば、あなたが「本当に問題だと思っている事柄」にフォーカスできるようになる。ある事象を批判しているフェミニストに対し「こっちは批判しないの?」「あの件にはだんまり」「片手落ちなんだよなぁ」等の茶々を入れる必要がなくなる。あなたがセクシストじゃないなら、あなたが「こっち」を批判し、「あの件」について言及すれば済む話だと気づける。あなたの視座から批判すべきだと思ったことを批判しよう。

・もし、あなたがセクシストではなく、かつ「まともなフェミニストは日本に存在しない」と考えてるなら、あなたが「まともなフェミニスト」になることもできる。あなたは「まともなフェミニスト」が何なのか正しく理解しているのだから。
あなたの視座から「本当に困っている女性」や「本来真っ先に批判すべき事柄」や「優先的に解決すべき問題」が見えているなら、そちらに向かって活動しよう。数少ない「まともなフェミニスト」となり得るあなたの貴重な時間を、他のフェミニストの言動チェックに使うのは勿体無い。
・もし、あなたがセクシストではなく、かつ「日本社会に男性差別はあるけど女性差別は存在しない」と考えてるなら、男性差別の撤廃に尽力しよう。あなたが、あなたの視座から見える、あなた自身の直面している問題のみにフォーカスするのは何もおかしいことではない。社会から性差別を撤廃すること、本当の意味での平等を目指すことは決して楽な道のりではない。
ただし男性差別撤廃を目指す人達にとっては幸運なことに、私達が暮らす社会の決まりごとを作る人達、法律や規則を作る人達の殆どは男性だ。それが「性」差別であるという性質上、同性の方が訴えの共感を得やすいことはわかるだろう。あなたの住んでいる市区町村、都道府県の議会の男女の割合はどうだろうか。もしも市議会議員や県議会議員が女性ばかりで心細くなったら、あなたの仲間を見つけて、声を上げていこう。

あなたがセクシストじゃないなら。

フェミニストを批判したらセクシスト、とは言ってません。念の為。

自治体の表現ガイドラインより抜粋「女性をアイキャッチに使うこと」のまとめ

以下は、国や自治体が、自身の(公の)広報物を作成する際に、それを作成する職員に向けて作成したガイドラインの一例です。
異なる考えや価値観を持つ人々が一緒に生きていく社会において、「公」に掲示するに相応しいデザインと、その考え方が書かれています。

内閣府男女共同参画局
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○北海道
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青森県
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福島県
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○埼玉県
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島根県
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こちらの記事を参照しました。
http://ilya.hatenablog.jp/entry/20151203/1449133407
・これらは公が公の職員に対して提示しているものなので、一般企業の作成する広告物がこのガイドラインに準拠したものになってなければ問題であるということではなく、そもそもガイドラインなので、それぞれの公務員に対してさえ強制力はありません。ただ、これらのガイドラインは「女性表象をアイキャッチにするとはどういうことか」を理解する助けになると思います。
・男性をアイキャッチにすることについてあまり書いてありませんが、男性表象ももちろんアイキャッチャーになり得ます。これらのガイドラインが作成される以前に、男性性をアピールした広告や男性の身体の一部をアイキャッチャーにした広告が少なかったためかなと想像しています。

宇崎ちゃんの「第一弾と第二弾の違い」の説明を試みる

『宇崎ちゃんは遊びたい』献血コラボの件。
第一弾と第二弾の何が違うのかわからない人、の中で本心から何が変わったのか知りたい人に向けて書いた。


①フェミVSオタク、ではないという話

本題に入る前の前提として。
フェミニスト=性嫌悪=女=前回のポスター批判派=表現規制派=アンチオタク=ミサンドリスト=左翼】

対立

【オタク=スケベ=男=前回のポスター肯定派=表現の自由を重視派=アンチフェミ=インセル=ミソジニスト=右翼】
・・・ではない。そんな構図はない。
もちろん重なる部分が無いわけではないが、しかしそれぞれの属性をイコールで結びつけることは単純に誤りであり、このような大いなる対立軸も存在しない。
ここで「あたりめーだろ」と思った人は後段まで飛ばしていい。だが「え、違うの?」という人はよく読んでほしい。

そもそも人は一人一人異なる価値観、感覚、考えを持っている。ヒトが二人いれば、何かに対する意見が一致することもあるし、別の問題については対立することもある。
宇崎ちゃんのポスター(献血コラボ第一弾)を見て不快になる人もいればそうじゃない人もいるし、問題があると思う人もいればそうじゃない人もいる。不快に感じた人が皆フェミニストになるわけじゃないし、不快に感じなかった人が即ちオタクなるわけでもない。「自分は不快になるけど問題はないんじゃない」と言う人もいれば、「自分は不快にならないけど問題はあるよね」と言う人もいる。
「あの絵はエロいから問題だ」、「エロいけどそれの何が悪いんだ」、「絵はエロくないけど他に問題がある」、「少しもエロくないから問題ない」、いろんな意見がある。当然「エロい(性的)と認識する表現」にも個人差がある。その個々人の「感覚」自体に正解不正解は無い。

「問題がある」と思う人の中にも、構図が問題だと考える人もいれば、表情が、服の表現が、台詞が、掲示場所が、掲示方法が、そもそも景品を渡すということが問題だと考える人もいる。そのどれか一つだけを問題視する人もいれば、全部を変える必要があると思う人もいる。
そう思うに至る理由も、じゃあどう改善されれば良いと思うのかも、人それぞれだ。
「でも、人それぞれじゃ困るんだよ」と思うだろうか?しかし批判派、あるいは肯定派でも意見を完全に一致させることは不可能だ。だって我々は異なる人間だから。それぞれに異なった人生経験があり、それに基づく価値観がある。仮にある部分では一致しても、他の部分で同意できるとは限らない。

ブクマやSNSでは、批判派を「フェミの意見がバラバラ」「フェミはゴールポストをお気持ちで動かす」と揶揄する人がいるが、まず宇崎ちゃんのポスターを批判した人=全員フェミニストではないし、仮にフェミニストを自称している人に限ったって、個別の事象に対する考えが全て同じ(でなければならない)なわけがない。

そもそも〇〇イストというのは、〇〇イズム、つまり何らかの体系だった考えを主義とする人のことだ。他の〇〇イスト、例えばポピュリスト、エコノミストファシストマルキスト、ブディスト、ヒューマニスト、リアリスト、ミニマリスト、、、と、まぁ何でもいいけど、彼らはただある一定の考えや思想の土台を共有してるだけで、個別の事象にいつも同意見ではないことは簡単に理解できるだろう。

ただ確かに、「批判するなら基準を示してほしい」という願いは理解できる。しかし市井の個々人が基準を考え・協議し・まとめ上げる筋合いもなければ、規定する権力も無い。
その基準を求める先は「権力者」である。クリエイターや編集者が本当に困るのは、「上」からのガイドラインが無く、基準が曖昧なのに、表現規制について恣意的な運用をされてしまうことだ。


ガイドラインを作るのは組織であり権力者である、という話

ガイドライン(指針、基準)を作るのは、例えばBPO(放送倫理委員会)であり、映倫映画倫理委員会)であり、CEROコンピュータエンターテインメントレーティング機構)であり、各メディアであり、各企業であり、あるいは地方自治体であり、都道府県知事であり、国である。

彼らには「何かを制定する権力」があり、時には「基準を示す義務」があり、「批判に対応する筋合い」がある。
国民の声を掬い上げ、基準を制定するのはそういった組織の仕事だ。「弾圧」だの「規制」だのをやろうと思えば出来てしまえるのは、権力者だ。決して「ツイフェミ」ではない。


③宇崎ちゃんの献血コラボ第一弾では、何が問題視されていたか

(先に言っておくが、下記はあくまでも「私の観測範囲」「私の視座」からキャッチできた「批判側」「何かを問題視していた側」の意見である。この文章が伝えたいことの目的として両論表記する意味がないから肯定側の意見を載せていないのであって、それは肯定側の意見の否定を意味していない。)

◎乳袋について
・乳袋が描かれている
・乳袋とは(男性向け)エロコンテンツの表現手法であり、エロコンテンツではないものの広告に使用するのは相応しくない
・カフェバイトで着る襟付きのシャツというのは通常身体に張り付く生地ではなく、あれはキャラクターの乳房を強調する表現である
・こういった表現は女性の身体の一部をアイキャッチに使っており、女性のモノ化、性的搾取にあたる

◎表情について
・頬を赤らめ、困り眉にする意味がわからない
・二次絵のコードを知らない人には所謂アヘ顔と似て見える
・あの表現は直接的なエロ表現ではないが、性的なコードを含んでいる
・エロくは無いが、煽るような表情は献血の広告に相応しくない

◎構図について
・ポスターの中央に乳房を置き、右手も左手もプレートも不自然に乳房と被らない位置に置かれている。プレートはパフェが乗ってるのに斜めになっていて、胸を強調する意図が感じられる
・パフェと飲み物を運んでるにもかかわらず、胸を突き出して腰を曲げた不自然な姿勢である
・乳房の大きいキャラクターを魅力的に描いたコンテンツの絵としてはおかしくないが、公共に貼る献血のポスターとしては不自然な構図

◎台詞について
献血未経験であることを馬鹿にした台詞である
献血が出来ないケースには様々な事情があるにもかかわらず、無責任で不適切な煽りをしている
・作品を知らない人は彼女のキャラクターやセンパイとの関係性も知らないため、広告を見た人を煽る構図になってしまっている

掲示について
・景品、ノベルティとして希望者に配るなら問題ないが、ポスターとして掲示するのは問題だと感じる
・駅構内の壁に貼り出すには不適切な絵柄だ(嫌なら見るなが通用しない)

以上、主だった意見はこんなところだろうか。なお、本件で「作者/作品自体を責めている」「巨乳キャラクター自体を批判してる」かつ「自称フェミニスト」というのは、私の観測範囲からは観測できなかった。
が、仮にそのような人が居るとすれば、それはフェミズムと相反する考えであるし、その人がフェミニストでないとしても間違った筋違いの批判だと思う。


④第二弾で何が変わったのか

◎乳袋→消えた。もちろん多少乳房を強調する塗りではあるが、無茶な張り付き方をしていない。「現実には有り得ない表現」から、「現実に乳房が大きくてウエストが細い人がストレッチの効く柔らかい素材の服をピッタリサイズで着た時の影の入り方」に近づいてる。(具体的には、乳袋が批判されてる文脈でよく出てくる「いや、現実でも巨乳だと乳袋は出来ちゃうんですよ!」と主張する人が持ってくる、別に乳袋ではない画像、に近い)

◎表情→煽りと媚態が混ざったような表情から、活き活きした覇気のある表情になっている。(ヲタ視点から言えば、この表情は「自分はこの日献血しないのに、センパイが献血することに対して勇ましく決めポーズしてるアホの子ムーブ」の一環だと思うので、それはそれでまた別の意味合いを帯びてくるけど。)

◎構図→女性の乳房が画面真ん中に大きく表示されてるわけでなく、乳房を強調するための不自然な姿勢になっておらず、献血コラボとして妥当性のあるストーリーに合わせた漫画の構図になっている。

◎台詞→厳密にはやや危ういところもあるが(「この人でかいんで好きなだけ」「針が痛くても泣いたら駄目」「いい歳して」)、キャラクター同士の掛け合いによってツッコミと解説が生まれ、第一弾のような煽りの台詞はなくなっている。 

掲示→詳細未確認。とりあえずクリアファイルの画像を確認したのみで、ポスター掲示の有無/ポスターがあるとすればその場所については不明だが、この第二弾であれば公共に掲示しても問題ないだろうと私個人は感じる。

もちろんこの第二弾の表現にも問題があると感じる人も、不快に感じる人もいるかもしれない。その人はフェミニストかもしれないし、そうじゃないかもしれない。だけどそれは「フェミニストゴールポストを動かしている」ことを意味しない。
この記事では、単に「第一弾を批判して第二弾を肯定的に見てる人は、どこに違いを見出してるのか」の解説をしたつもりだ。
また「変わった」というのは、作者が前回の批判を受けて何かを変えたという意味ではなく、第二弾で出てきたものが結果として前回の批判箇所を概ねカバーしたものになっているということだ。


⑤第二弾を肯定する人を批判する人のこと
第二弾のコラボがSNSに上がった後の反応で、結構な数の人が(今ホッテントリに上がってる宇崎ちゃんタグ記事のブクマでも、棘のコメント欄でも)「何も変わってないのにフェミが評価を変えたのは何故」「作者がかつての災害被災者だと知って叩けなくなったんだろう」等と、マジで「第一弾も第二弾も変わってないのに」と思っていると知った。それは個人の感想なので人それぞれ、なんだけども、本当に「巨乳のキャラクターが批判されていた」「乳の大きさが問題だった」「男性オタ向けの漫画キャラクターを使ったから批判されていた」と認識していたんだと驚いた。いや、第一弾の段階で、言葉を尽くしてめちゃめちゃ丁寧に説明してる人沢山見たけどな…。でもそれも観測範囲の違いなんだろう。
ただ、もしあなたが何かを恐れているなら(誰かの言葉を借りるなら「フェミのヤクザ論法に権力者が折れて、フェミに言いなりの表現規制ガイドラインを作ること」を恐れているなら)、フェミニスト叩きではなく、一つ一つの表現に対して「なぜこの表現は問題が無いのか」に言葉を尽くすべきだと思うよ。


2020.02.03.19:47 追記。
ブコメ変更されると辻褄が合わなくなっちゃうので、コピペしますね。

id:yujimi-daifuku-2222 「全く逆で、法に触れていない絵を公的には不適切と断罪するならば、断罪する側が言葉を尽くすべきです。/この記事でも様々な解釈がある中で、規制に値するとの解釈がなぜ妥当するのかが全く論証されていません。 」
→うーんと、そもそも僕は今回の件で「規制に値するとの解釈が妥当である」とも「その根拠を論証します」とも主張してないので、書いてないことを読み取られても困ります。
最初に書いた通り、あくまでも「何が変わったかわからない、説明してほしい」と言ってる人(ブコメと棘のコメに複数確認しました)に、「批判→肯定に評価が変わった人は、こういう部分を見ている(と主張してるのを確認した)よ」と説明したんです。
ちなみにあなたが言う「規制」って何ですか?誰が、何を、誰に対して、どのように規制する/させるんですか?
もしも、仮にですよ、「乳房が大きいキャラクターを献血の広告に使うことを国や地方自治体は各企業や団体に対して規制すべきだ」なんて主張してる人がいるなら、僕は間違いなく反対します。だからはじめに【ポスターを批判した人=表現規制派ではない】と前提を置きました。
そして「断罪」ってどういう意味で使ってますか?断罪とは「罪を裁く、有罪と判決を下す」という意味ですよ。例えば裁判所で何らかの判決が下るなら、確かに裁判官がその根拠を述べることは必須ですし、そこでは法に基づく妥当性が示されるべきです。しかし一般人に誰かを「断罪」する資格はありません。比喩的用法なのは理解してますが。
つまり、この記事の前半で書いてるようにSNS上で発言する一個人に「何かを規制する権力」も「断罪する権力」も無いんです。したがって「何かを論証する義務」も「次々現れる反対派を納得させる責任」もありません。
まぁ、今回の(前回のポスターの)件で、「日本赤十字社にあのようなポスターの問題性を理解してほしい」と思った人が日赤に対し正式に抗議をする際、「私が不快だから取り下げろ!」と言うのではなく、言葉を尽くして妥当性のある論証を試みた方がもちろん「何かが伝わる可能性」は上がります。実際そうしたんじゃないかな、詳細は把握してないけど。

id:kotetsu306 「作者がそこまで性的だと思ってない(少なくとも献血コラボにGOする程度には)絵を、一方的に性的認定した上で「作者を叩いてない」ですかー。「君はオレ基準で偏差値40だけど、君が悪いんじゃないよ」みたいな物言い」
→ちょっとこれ何言ってるかよくわかんなかったんですけど、星を集めてるようなので…。そもそも、『宇崎ちゃん〜』は男性向けご都合主義がベースになったコメディ漫画と認識してます。それ自体は(そういう媒体に載ってるだけなら)悪いことではないし、エンタメとして多少のエロが入ってるのは事実ですよね。「宇崎ちゃんは胸がデカイだけでエロいキャラじゃないのに」みたいなしらばっくれ方をするのはむしろ作者に失礼で、作者はあのキャラクターを、作者のフェチを詰め込んだ存在=「エロくて可愛い存在」として描いてると思うんですが(これは個人の感想)。仮に作者が彼女をエロく描いた意図がないとしても、その絵を「性的認定」したら「作者を叩いた」ことになる理屈がよくわかりません…(性的=悪いものという価値観が前提にある人?)

id:augsUK 「"一つ一つの表現に対して「なぜこの表現は問題が無いのか」に言葉を尽くすべき"フェミニズムは「無罪の証明」を強要する思想ということで固定していいの?先に規制したい線引きを統一して客観的に明示すべきだった。 」
→長いし全文読めとは言わないけど、わざわざブコメで問いかけるなら全文読んでくれてるんだよね…?批判側=全員フェミというのは誤った先入観だから捨ててほしい。
そして結語が誤解を生みやすいものだったのは認める。最後の文は「自分が守りたい表現が既に(フェミニストに限らず、誰かから)批判されている」という前提があっての話。

id:AKIMOTO 「違う成果物が違うのは当たり前。違う部分の間に「ここから先は問題」の線を万人が同じように引けるという考え方が変。線の同じ側に第一第二が来る人にとっては「何言ってるの」感しかない」
→これは何に対する意見なのか迷ったけど、基本的に僕も同じ考え。この記事で試みたのは「批判→賛成に転じた人は、だいたいこのへんに線を引いてるみたいよ」という紹介。で、更に言いたかったのは「一本の基準線をフェミ軍とオタク軍で押し合ってるわけじゃなくて、万人に万人の価値基準があるんだから、ある個人が何らかの属性を代表して基準を示すのは無理だし、それを相手方に求めるのもナンセンス(その基準を示すのは一般の個人ではなく、組織や権力者の仕事)」ということ。

id:babi1234567890 「不誠実な物言い。「国民の声を掬い上げ、基準を制定するのはそういった組織の仕事だ。「弾圧」だの「規制」だのをやろうと思えば出来てしまえるのは、権力者だ。決して「ツイフェミ」ではない」」
→ここまで書いて不誠実と言われるのは喰らうわ。どういう物言いなら誠実と思えるのか教えて。「フェミ側」が具体的な基準を統一見解として出せないと断言するのが、逃げてるようで卑怯ってこと?だとすればそれは文章の前半で「フェミ側」という認識から否定したつもりなんだけど。

id:July1st2017 「宇崎ちゃんは変わってない。 https://mobile.twitter.com/syokumutaiman/status/1223854548499910657 炎上したから内容を変えたという事実はない」
id:weekly_utaran 「それでは、こちらのツイートをご確認下さい。https://twitter.com/syokumutaiman/status/1224036010977189889  」
→どうせこの話出てくるだろうなと思って先に書いといたんだけど、読んでくれてないのかなー。元々「作者が前回の批判を受けて何かを変えたという意味ではなく、第二弾で出てきたものが結果として前回の批判箇所を概ねカバーしたものになっているということ」と書いてるよ。作者の意図がどうであろうと、乳袋が気になっていた人は乳袋の描写が無くなれば(無くなったと認識したら)「良くなった」と捉えるし、煽り表情が問題だと主張してた人は煽り表情がなくなってれば「変わった」と認識するよねって話。
個人の意見として「宇崎ちゃんというキャラクターの本質や姿かたち」や「『宇崎ちゃんは遊びたい』という漫画の世界観」は第一弾と第二弾とで実際変わってないと思うし、変える必要もないと思うよ。
一応「第一弾の批判が作者に(日赤に、ではなく)通じたから第二弾が改善された」という認識の人がSNS上に存在してることは確認している。ただ俺はそう思ってないし言ってないので、それを勝利宣言かの如くここでブコメされても困る。


2020.02.04.20:05 追記②

id:Hige2323 「全く漫画表現における文脈が理解出来ていない/"乳袋"解釈に幅があり乳袋と判定され得るが、前回と今回で賛否が入れ替わるレベルで表現方法に差があるとは思えん/"アヘ顔"あれがそう見える奴は眼科行け、知ったかすんな 」
→お前が「漫画表現における文脈が理解できてる」のはわかった、しかし世間には同じ文脈を共有している人ばかりではない、という話をしている。
お前が「乳袋表現に差があるとは思えん」のはわかった、だけど「差があると思う人も居て、その人は第一弾と第二弾に変化があったと捉えている」という話をしている。
お前が「第一弾の表情はアヘ顔ではない」と認識していることはわかった(俺だって思ってねーよ)、だが「コードを共有していなければ、アヘ顔との共通点を見出す人もいる」という話をしている。つーか「知らない人には」と言ってるのに対して「知ったかすんな」はおかしいだろ。
とりあえず自分と他者が異なる存在であるということと、論理学を学んでほしい。

id:CelestialFire 「確かに違いはありますが、第一弾の「献血ボイコット運動すら起きる、作品や作者を社会的に抹殺しかねないレベルのフルボッコ」から、一気に手のひら返して大絶賛になるほど相違点は重大なのか? という話ですよ。」
→批判派を批判する文脈で献血ボイコット運動を持ち出す人、twitterで散見されましたけど、それよもぎ団子氏の発言ですよね?発言直後に全方位から叩かれてたし、俺も批判したし、そんな「運動」起こってないですよね?起こりそうな空気すらなく彼がフルボッコされてましたよ(外野の悪ノリ除く)。そんなの皮肉でも言っちゃいけないことだもの。よもぎ団子氏はフェミニズムを勉強中のアラサー男性らしいですが、ボイコット発言の後も彼の発言を注視してる人は(僕の観測範囲では)多いです。危なっかしいし。んで、個人の、すこぶる批判されてた発言を批判側でひとまとめにするのは無理筋じゃないですか?って話をしてます。一つの集団が-1000の評価を一気に+1000にひっくり返した、みたいな認識は認知の歪みです。

ナンパを無視したら暴行を受けたという女性の話

日本でナンパを無視or断って、暴力を振るわれたり暴言を吐かれた人のコメント
https://togetter.com/li/1070376

有名人がナンパを無視され、腹いせにビンタした事件https://www.daily.co.jp/gossip/2019/04/21/0012263300.shtml

ナンパを断ったら自転車ごと倒され暴行された事件
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190503-00010001-saitama-l11

ナンパを無視したらナイフで顔を切られた事件
https://blogs.yahoo.co.jp/motikinncyaku/28653164.html

ナンパを無視したら強姦された事件
http://jwssnnews.blog.jp/archives/40190845.html

ナンパを無視したら痴漢され、髪を引っ張られ、蹴られ、罵倒された体験談https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9330580.html

ナンパを無視したら足を踏まれた体験談
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2005/0701/046696.htm

道案内した後ナンパに応じなかったら罵倒され、痴漢された&ナンパを無視したら店のドアを蹴られた体験談
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1242087887

ナンパに応じなかったら後ろから叩かれた、暴言を吐かれた、火のついたタバコを投げられた、腕を引っ張られた、立ち塞がれた、後日誹謗中傷された、説教された、手首掴まれた、キレられた、唾を吐かれた、追いかけられた、携帯を取られて連絡先を見られた、集団で罵倒された、犯したろかと脅された、等の体験談(外国人や韓国人からのナンパについても言及あり)
https://girlschannel.net/topics/195424/1/

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性犯罪や暴力に遭った方々の心身の傷が癒えるよう願う。

先日、韓国旅行に行った日本人女性が、韓国人男性からのナンパを無視したら差別用語で罵倒され暴行された、という事件があった。これは100-0で相手が悪く、反日、日本人差別者の韓国人男性の犯行であることは間違いない。彼女は怖い目に遭っただろうし、犯人はきちんと罰されるべきだ。

ただ、この事件に対し「韓国だから」「韓国人だから」「反日だから」こそ犯人は加害をし、日本人女性が被害を受けた、…と捉えてる人が散見されたが、それは違うだろう。あるいは「韓国なんかに行くから」=「日本にいればこんな目に遭わない」は当然真はでない。私が言いたいのは、「主語がでかい」という話だ。
この件は犯人が差別主義者で、おそらくミソジニー女性嫌悪)があり、かつ暴力に抵抗の無い人間だったから起きた事件なのだ。
それはもちろん日本で起こる事件にも同じことが言える。

上部に羅列した「ナンパを無視したら/応じなかったらこんな被害に遭った」の一覧は、基本的には日本で起こった出来事だ。たった数分の検索で出てきたうちの一部である。半分以上は匿名の体験談なので全てが真実とは限らないし、事実だとしても加害者と被害者の人種国籍は明確でない。だか何件かは「日本人男性が日本国内で行ったこと」であるという確実なソースがある。

これらの事件を以てあえて主語をでかくするなら、全て「男」の犯行だ。
しかし当然、全ての男性がこんなことをするわけない。むしろほとんどの男性はこんなことしない。
ごく一部だ。
ごく一部なのだが、どこにでもこういう奴はいる。同じ奴が、不特定多数に同じことをくり返す。だから女性はどこに行っても、自国に居てさえ、安全とは言えない。それは男性全般のせいじゃなくて、「こういうことをする奴のせい」だ。(なお男性なら安心安全という意味ではなく、男性も被害者になることもある。ここでは韓国の事件を踏まえ「ナンパを無視したら」に限定しているが、性犯罪という括りならここに羅列するまでもなく、日々凄惨な事件が発生しているし、性犯罪で女性が犯人となるケースも全体の数%だが発生している。)

もちろん、今回の韓国の事件で韓国のメディアが動かない、犯人が見つかっても処罰されない、韓国世論が犯人を擁護する…となったら、その対応を語る際には「韓国」という主語の大きさが適切だろう。ただ少なくともtwitter上では、被害に遭った女性を気遣い、謝罪し、犯人を見つけて罰さなければ、とリプしている韓国人と思しきアカウントが沢山居た。被害女性が動画をupして二日目の時点でだ。
だから韓国人をひとまとめにして語ることは、日本人をひとまとめに語るくらい、論理的とは言えない。

主語が適切かどうか、という視点を持とう。
自戒を込めて。

冤罪の恐怖もわかるが、一度痴漢被害者の気持ちを想像してほしい

ここ数日、痴漢と安全ピンについての記事と反応をいくつか目にして、全員一旦被害者の側に立ってほしいんだよなーと思って書いた。

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たとえばの話。

あなたよりもガタイが良くて、普通に喧嘩になったらまず勝てないような相手が居るとする。
あなたが平均的な成人男性の体格であれば、相手は身長190cm体重80kg握力78kgの人としよう。

そんな体格の赤の他人から、朝晩の満員電車の中でケツを触られる、耳や首筋に息を吹き掛けられる、下着のラインをなぞられる、胸を触られる、服の中に手を入れられる…

最初は固まってしまって何も言えず抵抗も出来ず、本来降りるはずじゃなかった駅で降りる、それだけで精一杯だろう。遅刻しないように、気分が優れないまま次の電車に乗るしかない。

あなたはしばらくして再度痴漢に遭う。加害者は前回と別の奴である可能性が高いが、同じ奴の可能性もある。どちらにしろ最悪だ。

性器を揉まれる、相手の性器を擦り付けられる、制服やスーツや鞄に精液をかけられる、ベルトを外される、チャックを下ろされる、下着の中に手が入ってくる、肛門に指突っ込まれる…

勇気を出して「止めてください!」と言っても止めてくれない、「痴漢です!助けて!」と言っても周りの人間は無視、最悪「冤罪?」と呟かれる。

駅に着いて加害者を追及するも、相手は凄んできたり、すっとぼけたり、あなたを侮辱したりするだろう。逃げられることもある。もちろんあなたは学校なり職場なりに向かう途中だ。

もし「運良く」、周りの人が協力的で、駅員も警察も全員親切で、加害者が大人しく検査を受けて、相手が捕まるとしよう。家族も学校や職場の人も完全にあなたの立場に寄り添ってくれるとする。

しかしあなたはまた痴漢に遭う。
時間を変えたり、車両を変えたり、立ち位置を変えたり、鞄の持ち方を変えたり、格好を変えたり、色々工夫して痴漢に遭う頻度は下がるだろう。しかし、被害に遭うのだ。

ちなみに、被害者専用車両がいつ何時もあるとは限らない。というか専用車両は特定の路線の特定の時間にしか設定されていない。

例えば高校から電車通学だとしたら、あなたは15,6歳からそういうことをされ続ける。
ずーっと。
満員電車じゃなければ、と思うだろうか?残念ながらガラガラの電車でも痴漢する奴はいる。
電車に乗らなければ、と考えるだろうか?残念ながら自転車通学でも徒歩通学でも痴漢に遭うことがある。

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さて、あなたならどうしますか?
反撃として安全ピンが最適解ではない、そんなことは誰だってわかる。
じゃあ「より良い方法」って何?