冤罪の恐怖もわかるが、一度痴漢被害者の気持ちを想像してほしい

ここ数日、痴漢と安全ピンについての記事と反応をいくつか目にして、全員一旦被害者の側に立ってほしいんだよなーと思って書いた。

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たとえばの話。

あなたよりもガタイが良くて、普通に喧嘩になったらまず勝てないような相手が居るとする。
あなたが平均的な成人男性の体格であれば、相手は身長190cm体重80kg握力78kgの人としよう。

そんな体格の赤の他人から、朝晩の満員電車の中でケツを触られる、耳や首筋に息を吹き掛けられる、下着のラインをなぞられる、胸を触られる、服の中に手を入れられる…

最初は固まってしまって何も言えず抵抗も出来ず、本来降りるはずじゃなかった駅で降りる、それだけで精一杯だろう。遅刻しないように、気分が優れないまま次の電車に乗るしかない。

あなたはしばらくして再度痴漢に遭う。加害者は前回と別の奴である可能性が高いが、同じ奴の可能性もある。どちらにしろ最悪だ。

性器を揉まれる、相手の性器を擦り付けられる、制服やスーツや鞄に精液をかけられる、ベルトを外される、チャックを下ろされる、下着の中に手が入ってくる、肛門に指突っ込まれる…

勇気を出して「止めてください!」と言っても止めてくれない、「痴漢です!助けて!」と言っても周りの人間は無視、最悪「冤罪?」と呟かれる。

駅に着いて加害者を追及するも、相手は凄んできたり、すっとぼけたり、あなたを侮辱したりするだろう。逃げられることもある。もちろんあなたは学校なり職場なりに向かう途中だ。

もし「運良く」、周りの人が協力的で、駅員も警察も全員親切で、加害者が大人しく検査を受けて、相手が捕まるとしよう。家族も学校や職場の人も完全にあなたの立場に寄り添ってくれるとする。

しかしあなたはまた痴漢に遭う。
時間を変えたり、車両を変えたり、立ち位置を変えたり、鞄の持ち方を変えたり、格好を変えたり、色々工夫して痴漢に遭う頻度は下がるだろう。しかし、被害に遭うのだ。

ちなみに、被害者専用車両がいつ何時もあるとは限らない。というか専用車両は特定の路線の特定の時間にしか設定されていない。

例えば高校から電車通学だとしたら、あなたは15,6歳からそういうことをされ続ける。
ずーっと。
満員電車じゃなければ、と思うだろうか?残念ながらガラガラの電車でも痴漢する奴はいる。
電車に乗らなければ、と考えるだろうか?残念ながら自転車通学でも徒歩通学でも痴漢に遭うことがある。

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さて、あなたならどうしますか?
反撃として安全ピンが最適解ではない、そんなことは誰だってわかる。
じゃあ「より良い方法」って何?