妻のことを嫁って呼ぶの、いいかげん止めよう

夫や夫の知人が、妻を「嫁」と呼ぶことについて。

現代の用例としてそれが間違いでないのはわかってる。わかっているが、「嫁」はやはり「息子(さん)の配偶者」の名詞としてのみ使ってほしい。基本的には「嫁」は「婿」と対応している。
結婚式では、新郎新婦を花婿と花嫁と呼ぶことがある。これは「婿と嫁」がそれぞれの親/家から見た立場を指しているからであって、一対一の関係では、お互いはあくまでも「夫」と「妻」である。婿と嫁の関係にはない。

男性が配偶者のことを「うちの嫁」と言ったり、その友人が「お前の嫁(さん)」と言っているのは比較的見聞きするが、
そういう人達は、自分が妻やその友人から「うちの婿」「あんたの婿」と呼ばれていても構わないのだろうか。
こういう時、「それは嫁が俺の名字に変えたからであって、もし俺が嫁の名字に変えてたら、嫁に婿と呼ばれていても納得できる」という反論もあるかもしれない。が、その場合の婿呼びが普通になったら、婚姻に際し女性の名字に変えてもいいという男性は今よりも減るだろう。その方が夫婦別姓も選択できるようになっていいかもしれないが。

以前流行った「○○は俺の嫁」というフレーズも、「俺の妻」ではなく嫁なのは、より「俺のもの」というニュアンスが強いからではないか。この場合の○○は人格を持った一人の自立した人間ではなく、単なる○○の所有権アピールに近い。二次元に配偶者がいる方は、試しに「○○は俺の妻」と言ってみてほしい。○○さんの存在が俄然リアルに立ち上ってくるのではないだろうか。

男性のほとんどは、なんでそんなこと気にするんだ、と思うかもしれない。既婚女性でも、私はそんなこと気にしないと思う人もいるかもしれない。
だけど、物事を捉えるということはまず言葉からはじまる。ほとんど形骸化しているような呼び名や漢字でも、些細なことが少しずつ、使う人の意識や関わり合い方に影響する。

妻の嫁呼びが浸透し、夫の婿呼びが皆無であることは、根本的に既婚女性を既婚男性より軽んじることに繋がりかねない。あるいは今の現状では、女性のみを家の付属品とする考え方がいつまでたっても消えない。
だから、些細なことだけど、嫁呼びは止めてほしい。

それでも嫁呼びを続ける男性は、なんで妻と言わずに嫁と言うのか、理由を教えてくれ。